人は辛いこと、嫌なことがあると よく「時間が解決してくれる。」と言います。
はたして、時間は何でも解決してくれるのでしょうか?

誰でも、何年、何十年と生きて行く上では色んな困難、惜別、挫折・・・に巡り合うと思います。

会社などで失敗し会社員人生の危機に晒されていとき・・・
商売が上手く行かなくなって廃業・倒産・破産の危機に迫られているとき・・・
家庭内不和で離婚をしたとき・・・
信頼していると思っていた人に裏切られたとき・・・
人それぞれ色んな障害に遭遇した時には、もうダメ、生きて行けない、自分の人生は終わった・・・と思うことも多いでしょう。
でも、それらは原因があって結果が出ているのです。
たとえその原因が不可抗力で有ったとしても、原因が存在し今の感情に成っているのだと思います。

自分では今のストレスがピークで、先が見えて来ないと思っても、第三者の目で観察すれば、まだまだ先はある。
人生長いんだしやり直しが出来るじゃないか。
と、思われるような場合には「時間が解決してくれる」と思います。

ただ、「四苦八苦」と言われるように抗えない苦悩に遭遇した時にはどうでしょうか?
生、老、病、死、愛別離苦、五陰盛苦・・などはそれらの苦しみとは違った次元の苦しみのように思います。
大切な家族を失う苦しみは、「心に刻まれたイレズミ」のようなもので、決して時間が解決してくれるようなものではないと思います。
確かに苦しみに対処する方法は時間と共に習得して行けますが、心の深くに根差した苦しみは取り去ること、薄く消すことは出来ません。

たとえば、大切な伴侶と死別したような場合、死別直後は日に何度も何度も海の波のように自責、無力、絶望、孤独、虚脱の感が押し寄せてきて、感情の波に翻弄されます。
しかし、死別後しばらく7年から10年も経過すると、それらが押し寄せて来ても受け止める感情に変化が生じます。
感情の中に「諦め、自失・・・」の感情が根差してくるため、海の波のように繰り返し繰り返し、果てしなく波が押し寄せるのでなく、大きな大きな巨大な津波が自分を飲み込んでしまうような感情の波に飲み込まれます。

心に刻まれたイレズミのような心のストレスは、時間が解決してくれるのでなく、いかに乗り切るかに掛かっているように思います。